鹿肉の手軽な熟成法を家庭用冷蔵庫で再現した
『料理人のためのジビエガイド 上手な選び方と加工・料理』(発行:柴田書店)で紹介されている「手軽な熟成法」(低温熟成)を再現してみた。宮崎県で狩猟用品の販売のほか鹿肉などジビエ肉の販売・加工も手掛ける株式会社マツダコーポレーションから、熟成前のフレッシュな鹿肉を入手した。
鹿肉をジップロックに入れて脱気
通常、同社では1週間ほど熟成した状態で鹿肉を販売しているが、特別に捕獲翌日の熟成前の状態で冷蔵の鹿肉を送っていただき、1日だけペットシートでおおまかにドリップを取り除いたものを使用した。
もちろん素手で鹿肉に触れることは厳禁で、鹿肉を触る際は必ずニトリル手袋を使用し、まな板、包丁などの調理器具にはアルコール殺菌消毒を施すなど衛生面には万全を期した。
まず鹿肉を真空包装機などで真空パックにする。そういった機械がない場合は、ジップロックなどの密封パックに鹿肉を入れ、9割ほど口を閉めた状態でパックごと水に沈めれば水圧で空気を抜くことができ、鹿肉にパックがピタッとつく程度までは脱気が出来る。
プラスチック容器の底にパックした鹿肉を置き、その上から氷を敷き詰める。こうすることで鹿肉に雑菌を付着させることなく、熟成させることが出来る。
熟成後の鹿肉は押すと弾力を感じる
容器に蓋をして、そのまま冷蔵庫へ。冷蔵庫は市販の家庭用冷蔵庫を使用。このまま鹿肉を7日間熟成する。この状態であれば冷蔵庫を開け閉めしても容器内の温度を一定に保つことが出来る。
熟成中、氷が溶けていれば水を捨てて、溶けた分、氷を追加する。容器の中の温度を測ると約2度で保たれていた。7日間熟成後、鹿肉をパックから取り出して網バットに置き、落ちたドリップが鹿肉に直接触れないようにして、冷蔵庫内で半日ほど表面を乾燥させる。
熟成後の鹿肉は、熟成前と比べると身が引き締まり、赤味が増したように見える。表面はやや乾燥し、指で押すと鹿肉の密度が上がり、弾力を感じる。特にニオイは発生していない。このとき雑菌が繁殖していれば、腐敗臭が発生し、鹿肉が緑色に変色するなど熟成は失敗している可能性が大きいので要注意だ。
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