乙嫁語りのカルルクが12歳でお嫁をもらうのは?
19世紀の中央アジアの世界は、現代の日本とは様々な点で異なります。それを「結婚」という切り口から描いたのが、本作『乙嫁語り』です。はたして、カルルクが12歳でお嫁さんをもらうというのは普通だったのでしょうか? 答えは、跡継ぎが「一人前」になったことを示すためだと思われます。
乙嫁語りのエイホン家は末子相続
19世紀の中央アジアの世界での結婚において、一番重視されるのは「家同士」の関係であり、結婚するまで本人たちが顔も見たことがなかったというのは、ごく普通のことでした。
『乙嫁語り』の【第三話】では、ウマクおじさんが「嫁をもらえばもう一人前だ」といっているように、「自分の息子が一人前になった」ということを社会的に示すために嫁をもらう、という感覚もあったようです。
【単行本1巻】の【あとがきちゃんちゃらマンガ】によると、エイホン家は「末子相続」なので、カルルクが跡継ぎになります。字の読めない人が多い中、カルルクは読み書きができる教育を受けているようです。
乙嫁語りのカルルクは一人前
父アクンベクは、カルルクを「子供」ではなく、「一人前の大人の、エイホン家の跡継ぎ」として、いろんな人に紹介するため、少し早いけれどお嫁さんをもたせたのではないかと思われます。
それを証明するように『乙嫁語り』の【第二十五話】でカルルクは、スミスを救うために「エイホン家の代表」として書状を携え、移動に4日もかかる町まで行き、スミスの釈放を要求しています。
現代日本の感覚ではかなり早い結婚ですが、『乙嫁語り』のカルルクは一人前になりつつあるようです。
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