乙嫁語りの舞台「カスピ海周辺の地方都市」とは
【第一話】の冒頭の記述によると『乙嫁語り』の舞台は「19世紀 中央アジア カスピ海周辺の地方都市」です。中央アジアというのは、広くは、チベットやモンゴル高原なども含んだアジアの中央部を指す言葉として用いられますが、狭くは、かつてトルキスタンと呼ばれた地域を指します。
乙嫁語りのモデルはウズベキスタン
トルキスタンというのは、「テュルクの土地」という意味で、テュルク系民族が居住する地域です。トルキスタンは、西トルキスタンと東トルキスタンに分けられます。
西トルキスタンには、旧ソ連のカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンが含まれ、東トルキスタンは、現在では中国の新疆ウイグル自治区となっています。
『乙嫁語り』の【単行本8巻】の【あとがきオヨヨマンガ】によれば、カルルクたちの町のモデルは、ウズベキスタンのブハラあたり、アミルの実家はカザフスタン、カルルクの祖母の実家はキルギスのイメージとのことですから、西トルキスタンが物語の主な舞台ということになります。
乙嫁語りの自然環境のモノローグ
もっとも、ブハラは現在では人口約25万人という古くから栄えていた大きな都市ですから、カルルクたちの村の描写とは一致しません。「ブハラあたり」とされているのは、ブハラそのものではないという意味でしょう。
ちなみに、ブハラは、伝統的な町並みを残している都市として有名で、旧市街の中心部の建物の配置は9世紀以降変わっていないとさえいわれています。
中央アジアの気候は、夏は暑く、冬は寒いのが特徴です。夏は、日中の気温が40℃を越える日が続き、冬の最低気温はマイナス15℃以下になることもあります。
『乙嫁語り』の【第十三話】のスミスがタラスが働いているところを観察しているシーンに、「ただ生きていく事にすら多大な労力を要する土地柄」というモノローグがありますが、それは、このような厳しい自然環境によるものなのです。
■「乙嫁語り」おすすめ記事
乙嫁語りのカルルクが12歳でお嫁をもらうのは?
結婚がテーマの『乙嫁語り』から考える国際離婚
乙嫁語りで描かれるヒツジの放牧のウラ事情とは
乙嫁語りで様々な動物の肉が串焼きにされている
乙嫁語りで描かれる伝統工芸「スザニ」とは?
モンゴル語には馬の基本的な毛色だけで20種類