宝塚の月組は都会的なスターたちが芝居を奏でる
宝塚にあって、温かく自然で説得力のある芝居に定評があるのが月組だ。花組とともに1921(大正10)年に発足した歴史の古い組であり、社会現象を巻き起こした『ベルサイユのばら』や『風と共に去りぬ』の初演も成し遂げている。都会的なスターたちが芝居を奏でる月組について見ていこう。
宝塚黄金時代を築いた月組の榛名由梨
これら2つの大作を牽引した榛名由梨は、70年代後半から80年代にかけて、雪組の汀夏子、星組の鳳蘭とともに宝塚黄金時代を築いた立役者のひとり。役になりきるため、トップスターとしては異例だった口ひげをつけて舞台に立ったことは有名で、月組の芝居に対するこだわりが早くも垣間見られる。
この後を引き継いだ大地真央も、宝塚の伝統を破る自然体な演技で革命を起こし、相手役の黒木瞳とともに『ガイズ&ドールズ』はじめ、ヒット作を次々と飛ばした。後年、温もりのある芝居が魅力の剣幸が『МE AND МY GIRL』で2公演連続上演という偉業を成し遂げると、「芝居の月組」という地位は強固なものとなったのだ。
こうした先輩たちの熱い芝居心を受け継ぐ月組の芝居はセンスに満ちている。人間味あふれるウィットに飛んだ掛け合いから、シリアスな芝居まで、観客の心を包み込むように魅了する。月組は、客席と演者がより近くなる小劇場公演を観劇するのも、その醍醐味が非常によく味わえるのでおススメである。
宝塚の枠を超える個性的な月組スター
月組から誕生するスターは、宝塚の枠を超えるような個性的なタイプが多い。奇抜なヘアスタイルとヤンチャな雰囲気で男性アイドルのような人気のあった大地真央、中性的な可憐さで「フェアリー系の男役」と呼ばれた涼風真世。
存在感のある演技に定評のあった天海祐希は、抜群のオーラで一気にスターダムをかけ上がり、宝塚に関心のなかった世間にまで宝塚旋風を巻き起こした。奇抜な個性ではなく、豊かな表現力に裏打ちされた個性と実力があるからこそ宝塚を卒業した後も芸能界の一線で活躍できるケースも多い。
宝塚ファンなら一度は見てみたいのが月組伝統の「アフロ祭り」。ショーの途中、組子全員がアフロヘアで登場してパフォーマンスするもので、ショーの演出とは一切関係ないのもシュール。最近では2016年9月にあったという。いつ開催されるか予告や法則は全くないため、生で観劇できたらかなりの強運といえる。
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