パイロットと地上整備員が連絡用に使う航空無線
航空機がスポットに入っている時、パイロットは管制やカンパニーラジオでの交信の他に、エプロンにいるグランドスタッフと連絡を取る手段を持っています。インターホンと呼ばれるもので、昔は有線のケーブルでつながっていたのですが、最近ではほとんどが無線(RIS:Radio Interphone System)を使用しています。
航空無線を使ってパイロットに連絡
駐機中の航空機を見ると、機首の下部にオレンジ色のバッグがぶら下がっているのですが、この中にインターホンの無線機が入っています。出発の準備が整うと、空港内連絡波を通じてエプロンの作業責任者に「5分前お願いします」と連絡します。すると作業責任者はインターホンの航空無線を使ってパイロットに連絡。
作業責任者「5ミニッツ、ビフォア スタートエンジン。セット、パーキングブレーキ(5分後にエンジンスタート。パーキングブレーキをセットして下さい)」
この後、パイロットはエアーバンドで、航空無線で管制にクリアランスを要求します。GND(グランドコントロール)から、プッシュバックの許可が出ると、今度はパイロットから、インターホンを通じて地上の整備員に連絡します。
パイロット「グランド、コックピットです。プッシュバックして下さい。フェイスサウス」
整備員「了解、リリース パーキングブレーキ(パーキングブレーキを解除して下さい)」
航空無線からパイロット同士の雑談
しゃべる時だけ音声が出るようになっているのですが、一部の航空機はこの機能がないようで、フライト前のチェックを行っている様子はもちろん、パイロット同士の雑談までこの航空無線から聞こえてきます。
周波数は特定小電力無線の復信用に指定されているチャンネルの1つ。電話のような同時通話を行うため、421MHz帯と440MHz帯の2波が対になっています。どちらかを受信すれば、双方の会話が聞こえるように設定されています。
とはいえ、最近ではデジタル方式の無線機を使用するところも増えており、こうなると受信は難しくなります。送信出力が1mWと、とても小さいため、それほど遠くまで電波は飛びません。空港の展望デッキで航空機が目の前にある状態でないと聞こえないのですが、機会があればチェックしてみたい航空無線です。
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