寄与分が相続人以外も請求できるようになった
民法大改正によって、法定相続人以外に与えられる特別寄与分も見直されています。遺産分割では、被相続人が受けた介護などのサポートを行ったかどうかが大きく影響します。相続人が無償で行った貢献は「寄与分」とよばれ、遺産分割に加算されますが、従来はその対象は法定相続人に限られていました。
新たに特別寄与分の見直しが行われた
それが今回の改正では相続人以外の寄与分にも相応して相続財産を請求できるようになったのです。
これまで寄与分は法定相続人にしか認められておらず、被相続人の孫や兄弟であっても代襲相続などでない限り無関係でした。また、たとえば被相続人の子どもが亡くなっていた場合、その配偶者は姻族なので相続人ではありません。
しかし今回、新たに特別寄与分の見直しが行われました。6親等内の血族、配偶者、または3親等内の姻族なら、相続人に対して請求を行うことができるようになったのです。ただし、被相続人の内縁の配偶者やその連れ子などは対象外です。
特別寄与分が認められず納得できない場合
また、寄与と認められるのは「被相続人の財産の維持や増加を助ける無償での貢献」のみ。介護や療養の援助以外にも、被相続人の事業に対する協力・支援などが対象となります。これはあくまでも無償の労務による貢献の場合だけです。資金援助があったり、給与をもらいながら労働していた場合は、これに含まれません。
もし遺産分割協議やその後の話し合いでもこの特別寄与分が認められず、納得できないという親族は、家庭裁判所に訴えることも可能です。
今回の民法大改正は40年ぶりということもあり、対象が多岐にわたっています。また、どれをみても、相続人の手続きをスムーズにしたり、トラブルを回避したりするのにつながる変更であり、極めて実務的な内容だといえます。
この民法大改正を活用するためには、常識的な知識を持ち、備えておくことが大切です。自分の両親や親族の相続が始まる前に、変更点を含めた相続の基本を学んでおかなければ、思わぬトラブルになることもありうるのです。