おんな城主・直虎が守ったのは元婚約者の子
出家していた井伊直虎が井伊家の「おんな城主」となることで、養子とした虎松を遠くの寺に隠し、今川家の目をそらし、いわば隠れ蓑となった。臥薪嘗胆の思いで虎松の成長を待ちのぞんだ。そんな直虎が守ったのは、じつは元婚約者の子だったのだ。
直虎は元婚約者直親の子にかけた
女性ゆえに難を逃れることができた直虎は、かすかに残された可能性を、元婚約者直親の子、まだ幼い虎松にかけたのだ。それは想像を絶する複雑な感情だったに違いない。
直虎の庇護のもとで生き延びた虎松は成長すると、徳川家康の家臣となり、どのような戦いにおいても、常に先頭に立って勇敢に戦い、徳川四天王といわれた名将たちの中でも筆頭格とまで謳われる存在になる。
まさに一世一代の出世を果たし、見事に井伊家再興を成しとげるとともに、家康による江戸幕府の創設を助けることとなる。
『おんな城主 直虎』に期待
謎の女・直虎は、井伊家の歴史の転換点に確かに立っていた。火が消えたかに見えた灰の中にそっと火種・直政を残し、何食わぬ顔でその火を守り続けたのが直虎だった。
直虎はその実像について、まったくといってよいほど記録がない女性だけに、大河ドラマの制作者たちも自由奔放なストーリーを展開することができるだろう。それによって、桶狭間の戦いから始まる戦国時代後半のストーリーの中に「新しい歴史」が作られるに違いない。
また、これまで織田信長の敵役として描かれることの多かった今川義元にも、新しい光があたるかもしれない。NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に期待したい。
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