確定申告書へのマイナンバー記載は法令上の義務
マイナンバー制度の導入により、平成28年1月から税や社会保障の手続きでのマイナンバーの利用と、マイナンバーカードの交付が始まっています。そして、平成29年2月16日から始まる平成28年分の確定申告では、申告書へのマイナンバーの記載が義務付けられます。
確定申告にマイナンバーがない場合
確定申告書へのマイナンバー記載は法令上の義務です。その理由のひとつは、所得を把握しやすくして不当な税金逃れを防ぐためです。これは「公平・公正な社会の実現」に該当します。国税庁は国税分野でのマイナンバー利用を、「国税の賦課又は徴収に関する事務等に利用することができる」としています。
しかしマイナンバーの漏えいなど、不安もあります。そこで税務署などでは、マイナンバー制度導入直後の混乱を回避することなどを考慮し、確定申告書にマイナンバーの記載がない場合でも受理することとしています。「記載は法令上の義務」ですが、罰則などはありません。
そこで気になるのが、確定申告書へのマイナンバー記載で何が変わるのか? ということ。おもてむきには、確定申告書へのマイナンバー記載の有無による変化はありません。
記載がなくても税務署は、確定申告書に記載された氏名・住所・生年月日などからマイナンバーを調べることができるからです。だからこそ、マイナンバーの記載がない申告書でも受理する、という措置が取られているのです。
マイナンバーの導入で変わること
ただし、マイナンバー制度の導入で変わることはあります。具体的には、事業者が税務署に提出する源泉徴収票、支払調書といった税務関係書類にマイナンバーが記載されるようになり、名寄せや申告書との突き合あわせが正確に効率よく行えるようになります。
その結果、所得把握の正確性が向上し、脱税の摘発や申告漏れの指摘などが的確に行われるようになります。
さらに、早ければ平成30年、遅くとも平成33年には、預貯金口座とマイナンバーの紐付けが義務的にスタートすると推測されます。これにより、税務調査のときに税務署が銀行にマイナンバーを使って照会することで、いままでよりも調査がスムーズに行われるようになります。
ただし、マイナンバーで預金情報を管理するのは、あくまでも銀行の仕事です。よって、税務署が直接マイナンバーで預金情報を調べられるようになる、ということではありません。
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