ウェルシュ・テリアはイギリス原産の狩猟犬
東京在住ながら静岡県伊豆半島を拠点に大物猟を行う山本弘さん。弊誌『けもの道』にも寄稿するベテラン猟師。今期、愛犬のウェルシュ・テリアを連れての出猟に同行した。ウェルシュ・テリアはイギリス原産で、キツネ狩りやアナグマ狩りに使役されていた狩猟犬だ。
ウェルシュ・テリアは抜群の運動性能
テリア系の犬はもともとイギリス原産の狩猟犬(ワーキングドッグ)だ。中でもウェルシュ・テリアは、小柄な体格ではあるが、抜群の体力と運動性能を持ち、穴の中に潜む獲物を探し、追い出し、追跡する。
ウェルシュ・テリアは狩猟だけでなく過去には農場での害獣対策や番犬としても重宝されたようだが、現在入手可能なものはショードッグや愛玩犬としてブリーディングされている場合がほとんどで、狩猟系で残されている系統はわずかとされている。
山本弘さんは、貿易商社のロシア駐在時代に現地の狩猟に参加し、そこでウェルシュ・テリアが今でも狩猟に、しかも大物猟に使用されていることを知った。
日本では東京都心に住む身だが、小型犬であるウェルシュ・テリアなら自宅でも猪や鹿の実猟犬として飼うことが可能と考え、モスクワのブリーダーから1世代目となるウェルシュ・テリアの譲渡を受けた。
ウェルシュ・テリア3代目の実猟犬
帰国後はウェルシュ・テリアの愛らしい風貌や性格から愛玩犬として十分な魅力を振り巻いてくれたのはもちろん、伊豆の猟場に一緒に通い、猟欲を育てた。現在のイカロスとグランディーはその3世代目に当たる実猟犬として山本さんらと出猟している。
山本さんの猟場は伊豆半島の天城地方にあり、当地方の猪狩りでは猪の食み跡や足跡の新旧から寝屋の位置を見極める「見切り」は必須の作業とされる。
雨や雪が降れば古い跡を消してくれ、その後に出来るものが真新しいものであると分かりやすいので、「見切り」は雨上がりや降雪後がやりやすい。また、歩いたり餌を探して湿った地面が掘り返され、その跡の乾燥の進み具合で新旧を判断することも出来る。
ところが取材日までにはしばらく雨や雪が降っておらず、山本さんと猟友の小池さん2名での見切り作業にイカロスとグランディーも同伴させる。地面も空気も乾燥し切っていて、掘り返された土や落ち葉の上を歩く足跡の新旧が人の目では分かりにくいためだ。しかし、残ったニオイは天候に関係なく犬がその新旧を判断できる。
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