ヤマビルは背に3本の黒い筋が縦に走って見える
気付けば知らないうちに足から血が…。マダニに並ぶハンターの天敵、ヤマビル。春から秋にかけては、非猟期中の有害鳥獣駆除のほか、ハイキングやBBQなどの行楽イベントも目白押しだが、その時期はヤマビルの活動期にも当たっている。正しい知識を持って、ヤマビルの吸血からハンターの大事なお肌を守ろう!
ヤマビルの生息域が全国的に拡大
この十数年間で全国的にヤマビルの生息域が拡大している。北は秋田から、南は宮崎・鹿児島までの34都府県に吸血被害が拡大しており、特に、栃木・群馬・千葉・神奈川・岐阜・三重・滋賀・兵庫などでは吸血被害地域が著しく増加している。
これらの地域では林業関係者やハイキング、キャンプに出かける人々の間ばかりでなく、里山近くの住宅地にまで吸血被害が及んでいる。
ヤマビルはミミズと同じ仲間の環形動物で、体長は3~4㎝、伸びると5~7㎝にもなる強い伸縮性があり、引っ張ってもちぎれないほどの強靭な筋肉を持っている。体の色は赤褐色から茶褐色で、背面に3本の黒い筋が縦に走って見えるのが特徴。陸上、特に山地の森林に生息しており、強い吸血能力を持った生き物である。
梅雨時の6~7月や秋雨の9~10月の時期に活発に吸血する。体の前端(前吸盤)と後端(後吸盤)に各1個の吸盤を持ち、後吸盤で体を支えながら尺取虫のように歩く。なお、ヤマビルは雌雄同体であるが、ほかの個体との相互交接もよく見られる。
ヤマビルは皮膚を切り裂いて吸血
ヤマビルは乾燥には弱く、暗くて湿気の多い場所を好み、通常は枯葉の裏や枯れ木、草・石の下でじっとしているが、動物が近づいてくると体温・炭酸ガスや動物の歩く振動を検知して(前吸盤周囲に体温・炭酸ガスなどを感知する感覚器官を持っている)動物の足やヒトの靴や衣服に付着し、吸血する。
ヤマビルは吸血するときには前吸盤の中にある顎歯(がくし)と呼ばれる細かい歯で動物の皮膚を切り裂いて吸血する。吸血すると、1ヶ月程度で卵塊(中に5~10個の卵子が入っている)を地面に数個産み、さらに1ヶ月を経過すると卵塊の中から仔ビルが誕生する。
仔ビルは吸血するたびに脱皮を繰り返して大きくなり、3~4年は生きると言われている。寒さには強く、室内試験ではマイナス2度で一晩放置しても生存していた。
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